2012年5月26日

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』

 

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劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』マチネに行ってきました。

席はS列なので、俳優の表情はほとんど分かりませんでしたね。1ブロック上手側、PA前に演出のいのうえひでのりさんが渋い顔をして座ってらっしゃいました。スピーカーの特性のせいか、セリフが若干聞き取りづらかったのが残念ではありましたが。

あらすじ

北の王国の侍所の棟梁、キョウゴク(古田新太)の命により、20年前に南の国の独裁者ゴダイ大師(高橋克実)の毒殺に成功したシレン(永作博美)。しかしゴダイが生きていたことが判明。キョウゴクの息子ラギ(藤原竜也)とともにシレンは再び南の国へ向かい、ゴダイの抹殺を試みます。しかし...

以下ネタバレを含みますので、当日着ていったDXのTシャツの写真を挟みます(笑)。

 

 

dxtshirt.jpg

 

Let's get ready to〜sxck it! はてさて、感想です。

いのうえ歌舞伎は第1幕で登場人物の相関や陰謀などが徐々に明らかになり、第2幕でそれが急展開していく、というものですが、今回もそれにならった形。

ラギは父を殺して、母を犯すという、ギリシャ悲劇的なとでも言いますかね、そうした業を抱きます。一方暗殺者の家系に生まれ育ち、殺すことでしか他人との関係性を持ち得ないシレン。ラギも彼女と同じ宿命を持ちます。そんな二人の関係性の物語です。

これまでのいのうえ歌舞伎では、最後は惨殺とも言える大立ち回りがあって(今回もあったと言えばあったかな?)、生きることと死ぬことの意味を深く掘り下げるというのが大体のパターンですが、本作は「生き残ること」の意味合いを訴求したエンディングでした。パンフによると、作家の中島かずきさんはそこを意識したようで、僕の見方もあながちハズレではないでしょう。どうもあっさりしてしまって、そこはちょっともったいないとは思いましたが、こういうご時世なのでそういう幕引きにしたくなった気持ちもよく分かります。

一方でシレンが終盤、ラギに放った言葉「人を殺めなくてもいいと言ってくれた人がいたけどね」(不正確です)というのは、グッと来ましたね。

結局、最後は殺人者としての宿命からシレンもラギも一歩進んで、人を生かす道を選ぶ、という大枠はとってもよかったと思います。

しかし、ゴダイ大師の高橋克実さんはすごくよかったですね。こんなに力量のある俳優だとはこれまで認識していなかったので、考えをあらためたいと思います。

カーテンコールで、古田新太さんがお約束のspiritz&DXチョップをしてくれたのはうれしかったですね(笑)。

ここのところ見ている新感線はいのうえ歌舞伎が続いたので、まあこれはこれで大好きなんですけど、冒険活劇のRXか、ネタものを見たいな〜という気分にもなってきました。

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