2009年8月14日

レス・ポール逝去



ギタリストのレス・ポールさんが94歳で亡くなられました。レス・ポールさんは、ギター界ではGIBSON Les Paulの開発者として知られていますが、録音の世界では、多重録音を最初に行ったミュージシャンとして有名です。

レス・ポールさんはAMPEXに8trMTRを作らせたことで有名ですが、実はそれ以前から多重録音をしていました。最初は2台のカッティング・マシン(アナログ盤の溝を切る機械)を並べ、片方を再生しながら演奏し、もう1台に記録、ということをしていました。後に、ビング・グロスビー(レス・ポールは彼のバック・バンドに在籍していました)から贈られたAMPEXのテープ・レコーダーを改造し、消去ヘッド→録音ヘッド→再生ヘッドの前にもう1つ再生ヘッドを設け、モノラルのAMPEXレコーダーでサウンド・オン・サウンドする形で文字通り"多重録音"していました。実際には後年のAMPEX 8trよりもこちらで制作していた機会が長かったそうです。この辺りの経緯については、本日twitterで高橋健太郎さん萩原健太さんの間でやりとりがあり、興味深く拝見させていただきました。

彼が当時の妻であるシンガー、メアリー・フォードと演奏している姿はYouTubeでも見られますし、iTunes Storeで音源を購入することもできます(こちらから試聴もできます)。上述のようにローテクであるにもかかわらず、そこで奏でられるサウンドは現在の誰にも容易には真似できないものです。

そして、レス・ポール翁は、今年までNYのクラブでステージに立っていました。映画『レス・ポールの伝説』でその姿を見られます。90歳を過ぎて、オッサンギャグをかましながら演奏している姿は必見ですので、未見の方はぜひどうぞ。

しかし、彼の時代から随分とテクノロジーは進化しましたが、その中身となるべき音楽がそれに比例して向上しているのか......ううん......考えてしまいますね。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.impactdisc.net/mt/mt-tb.cgi/13

コメント[2]

生涯現役、でしたね。
妻の祖母が今月94歳になりました。タメだったんだ。

それにしてもビッグニュースになってないのが不思議。
いおりんが書いてくれるまで知りませんでした。

まだまだtwitterにいろんな情報を高橋健太郎さん(友人の高橋健太郎君ではないです(笑))が書いているので、要チェックです。
http://twitter.com/kentarotakahash

コメントする