2009年8月26日

大塚英志こそダイエットした方がいい

先日のエントリーで紹介した佐々木敦『ニッポンの思想』にて、大塚英志のことが気になり始めて近所のブックオフに駆け込んだところ、『キャラクター小説の作り方』(講談社現代新書)しかなく、これを買い求めて読んでいます。9割方読みました。

タイトルだけ読むと、なんでそんな本を僕が買ってるのかかなり謎ですが、なかなかどうして単なるハウトゥーに終わっていないところ(というかそれは全体の1/3くらいです)が大塚の面白いところです。民俗学をバックグラウンドに持つ彼は、物語の在り方について徹底的にこだわり、戦中の国威高揚漫画と手塚マンガの関係性や、『木更津キャッツアイ』と『うる星やつらビューティフルドリーマー』の類似性と相違などを挙げながら、「この手のハウトゥー本」という体裁を保ったまま小説表現の本質に少しずつ迫っていきます。他方で、こうした本質に迫ろうとしつつ迫り切れていない自身の仕事を顧みながら、こうしたキャラクター小説を手掛ける出版社側(主に角川書店スニーカー編集部)への批判もするという、パフォーマンスとしても相当面白いです。

 

意外にも僕は大塚英志の著書を読むのは初めてなのですが、佐々木さんのまとめによれば(つまり原典を読んでいないんだけど)、彼の政治的態度には僕も大きく賛同できそうです。東浩紀は、彼に比べるともう少し現状追認型(というか現状からどうすべきかを考えていくタイプ?)なんでしょうが、大塚さんは理想を高く掲げて、その理想と現状との齟齬を問題としているように僕の目には映りました。と同時に、「君の態度はジャーナリスティック過ぎる」と大学院入試で恩師に一刀両断され研究者の道をあきらめて編集者に……という経歴にもシンパサイズしてしまいます(笑)。

しかし、もったいないのは、どんなに良いことを言ってもいかにもおたく然とした外見だと、説得力5割減なんですよね……。僕が彼の著書をこれまで手に取ってこなかったことも、そこに原因があるような気がしています。岡田斗司夫じゃないけど『いつまでもデブと思うなよ!』という気持ちでぜひダイエットしていただきたい。岡田斗司夫はどうでもいいけど、大塚英志にはもうちょっと、社会の中で頑張っていただかないといけないような気がします(とは言え、オレはそんな大したご身分じゃないよ的なフリをしているのもちょっと気に入らないんだけど)。

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