2009年9月 1日

森巣博『越境者的ニッポン』(講談社現代新書)

森巣博さんの『越境者的ニッポン』(講談社現代新書/2009年)を読了しました。

森巣さんはオーストラリア在住のプロの博打打ちで、日本では高校もお情けで出してもらったから中卒程度と自己評価し、自ら“チューサン階級”を称する作家です。ちなみに彼の妻はテッサ・モリス=スズキというオーストラリア国立大学教授(日本経済史)で、偶然ですが僕の大学時代の友人、辛島くんがテッサさんに師事していて、『自由を耐え忍ぶ』(岩波書店/2004年)というテッサさんの著書を訳しています。

 

まあ、森巣さんは「サヨクではなく不良」を自任していらっしゃる方で、僕も考え方は近いので逆に内容があまり印象に残らないのですが、こんなに民族的、非民主的な国はほかにはアメリカと中国と北朝鮮くらいじゃないか?という指摘をしています。

彼は意図的に過激な発言をしているので、それをそのまま引っ張ってきても仕方がないのですが(姜尚中さんとの対談本『ナショナリズムの克服』(集英社新書) でのナショナリズム=イチモツ自慢論とかは最高に面白いですが)、ナショナリズム、民族、性差などの社会的な問題を考える上でのヒント……というかキーを常に投げかけている姿勢はユニークです。下手したらウヨクの皆さんから国賊扱いされかねないわけですが、“だってオレ不良だもーん。ふふーん”と言ってしまいそうな潔さがいいですね。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.impactdisc.net/mt/mt-tb.cgi/165

コメントする