2009年11月 7日

映画『あがた森魚ややデラックス』

シアターN渋谷映画『あがた森魚ややデラックス』を見に行ってきました。

あがたさんについては少し前のエントリーでも触れていますが、これは67本にも及んだ昨年の還暦ツアー『惑星漂流60周年!』と、九段会館での記念ライブ『あがた森魚とZipang Boyz號の一夜』を追ったドキュメンタリーです。僕はこの九段会館のライブには都合がつかなくて行けなかったので、そのシーンがあるというだけでも楽しみでした。

新鋭の竹藤佳世監督、残念ながらまだまだ発展途上といった感じ。あがたさんが何に喜び、何に怒るのかといった辺りの描き方(実録と取捨選択)がまだまだ足りていないように思いました。がしかし、それを補ってあまりあるのが主演=あがた森魚の強烈なる個性でした。あがたさんが歌えば、そこがあがたさんの世界になってしまいます。そしてときにものすごく優しく、ときに烈火のごとく怒る……。まあ、あがたさんという人はそういう人ですけど。佐藤敬子先生は残酷な人ですけど。

ムーンライダーズ・ファンの目線で言えば、九段会館のライブに至るまでの過程が実に見ものです。ツアー中もピンポイントで、武川雅寛=くじらさん(vl、tp)が参加しているわけですが、九段会館ではぜひはちみつぱいをバックに歌いたいとあがたさんは言う。しかし鈴木慶一はじめ、元はちみつぱいのメンバーはそうは簡単にOKと言えません。なぜなら彼らは既に幕引きしてしまっているからです。まあ、結局は快くステージに立つわけですが、そこで彼らが胸に抱えているものが何か、あがたさんや慶一さん、和田博己さんたちが一言ずつ語ります。ファンとしては、それぞれの気持ちに揺さぶられます。

そして九段会館のステージ。やはりはちみつぱいははちみつぱいでしか出せない音なんですね。ムーンライダーズの前身ではあっても、そこで鳴っている音は明らかにライダーズと違う。独特の湿った浮遊感にうなることしきり。うーん、かっこいい。

駒沢裕城さん(steel.g)が、「あがた森魚とはちみつぱいになれば、あがた君も一員になる。彼は船長だ。でも航海士ではない」と言っていましたが、言い得て妙です。

そして相方に言わせれば、くじらさんが航海士長の役割を果たした……んでしょうな。

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