2011年1月 9日

井上淑彦Fuse

横浜・野毛のドルフィーまで、井上淑彦Fuseのライブ(3daysの2日目)に行ってきました。

メンバーは井上淑彦(ts&ss)、坂井紅介(b)、つのだ健(ds)、田中信正(p)。3年ぶりのライブだそうです。

井上さんとはもう30年くらいのお付き合いで、亡父の親友です。父の通夜の会場に僕と二人で泊まりました。すごく昔の話になりますが、井上さんは自分のリーダーバンドを組んでも、なかなか長くは続きませんでした。なにしろ真面目な人で、自分の求める音楽になかなか至らなかったんですね。親父はそんなときも常に、「トシのやりたいものをやればよい」とずっと言っていました。

1990年代に一時期、井上さんは思うところがあって、いったん演奏活動をやめてしまいます。そこから復帰するときの浜松でのコンサートのために、Fuseというこのバンドを作ります。Fuseという名前も、さまざまなものが混ざり合うという意味で、父が提案したものだったと記憶しています。だから言ってみれば、僕にとってはこのバンドは兄弟みたいなもの。井上さんのバンドではあるけれど、親父が遺した遺産みたいなものです。アルバム『グラスホッパー』に入っている「Fireworks」という曲は、うちの父(というか松本家)との思い出を託した曲だということは、ライナーに書かれている通りです。だから今回足を運んだのは、もちろん観たかったという気持ちもあるけれど、母の供養みたいな気持ちもどこかにありました。

まあ、それはともかく、すごかった。1stセットはいきなり「新曲3」と題された新曲。一発で覚えてしまったほどいい曲。そこから「Glasshopper」「Fireworks」「Little Tree」「North Rider」など、既存曲もびっくりするほど自由に。

2ndセットは、おなじみジム・ペッパー「Witch-Tai-To」、井上さんが“どこかの民族音楽っぽい…アイルランド?”と言いながら、つの健さんがアフロにたたく「新曲1」、4ビートをメインにしながら3部構成の「新曲1」、そしてスリリングな「Breathe In-Out」。アンコールは超絶に美しいポップソングとも言える「ずっと」。

とにかく自由だなぁと思いました。つの健さんのドラムは、もうなんていうかイマジネーションの宝庫。キックの16分連打やらグランジ顔負けのドンパンやらをあれだけ放り込みつつ、それでいてとても繊細。田中さんのピアノは相方が「てから先に何かが憑依している」と形容するほど。僕はあの人、120鍵くらい必要なんじゃないかと思ってしまいました。紅介さんのベースも縦横無尽に動きつつの圧倒的な安定感。そして井上さんのサックスもリズム・セクションとがっちり噛み合いつつ、いつもの2割増で豊穣でした。

「ジャズ」という言葉で形容する必要が全くない音楽。たぶん井上さんも父もずっとそんな音楽を求めてきたし、僕自身も(特に最近になって)そう思っています。

 

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.impactdisc.net/mt/mt-tb.cgi/297

コメントする