牧村憲一『ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989』
牧村憲一さんは、日本のポップス・プロデューサーの草分け的存在です。
私が牧村さんとかかわりを持ったのは仕事を通じてで、具体的には津田大介さんと牧村さん、そして私の上司が登壇した、内田洋行でのセミナーからです。当時、津田さんと牧村さんは自由大学で「未来型音楽レーベルを立ち上げよう!」という講座を開いていて、その拡張版としてこの講座は行われました。
皆さん、覚えていますか? この内田洋行での講座で、牧村さんはこう宣言したのです。
「この講座に出た皆さんは、一人一レーベルを立ちあげなくてはならない」と。
牧村さんは後に「キャッチフレーズが独り歩きした」とおっしゃっていましたが、津田さんは自社にスタッフを抱えてメルマガを発行するようになり、私の部署でも配信レーベルが始まり、私自身もこの年にムックを編集したりと、新しいことが始まる契機になりました。
で、この後、渋谷エピキュラスを舞台に再開される「未来型レーベル講座」に出席もし、私も牧村シューレの末席に加わることになったわけです。“私淑している”と書きたかったんですが、実は門下生でした(笑)。
実は、牧村さんは何か質問を投げかけても、ストレートに返してくださらないことが多いんです。ただ、そこで投げ返される言葉がより深く問題に踏み込んでいて、いつも“ううむ…”と唸ってしまいます。ちょうど、私の恩師に質問したときと同じような気持ちになります。
そんな牧村さんの著書『ニッポン・ポップス・クロニクル』が発売となりました。心待ちにしていたので、大変うれしいです。