菊地成孔ぺぺ・トルメント・アスカラール
白状してしまうと、私、ずーっと菊地さんのリーダー・バンドというのがどうもよく分からないまま来てしまったのです。でもある時期からぺぺやダブ・セプテットはおぼろげながら分かってきた気がしました。
で、JAZZ WEEK TOKYOのぺぺです。
一昨日のショーターについて、テナーの音について疑問があったのですが、ぺぺで見ていてもサックス……特にテナーが遠く感じるんです。ひょっとするとホールの特性? 不思議ですね。ショーターを3列目で見ていた人は「ブルーノートで見るのと同じような感覚だった」といっていたので、生音が届く範囲なら問題なかったのかもしれません。
それはさておき。
今日のぺぺは、ストリングスのうまさが光るステージだったと思います。徳澤青弦ストリングス、さすがすぎますね。彼らはテクニック的にはもちろんですが、音楽表現の深さも兼ね備えていて、菊地さんが珍重したがるのも分かります……というか、菊地さんに限った話じゃないですが。ソリッドで、深みもあって、1本1本のラインも見えるし、重なったときの美しさもあり。また青弦アレンジがいいんだ……。Cojokとのセッションのときも思いましたが、「ああ、弦カルってこうやって書くんだね...」と関心することしきりでした。ひょっとするとオーソドックスな手法じゃないのかもしれないけど、1本1本の生かし方が絶妙です。またそれをきちんとこなす技量...いやはや、脱帽です。
だけど、それだけじゃぺぺは面白くないんですよ。2パーカッションの複雑なビート、ストリングス側とパーカッション側を行き来する林さんのピアノ……多様性を狙っての菊地さんのコンセプトがようやく分かってきた気がしました(遅いですね)。
と同時に、サックスの演奏がよく聴こえないこともあったのですが、菊地さんはもはや自分が演奏することよりも、自分の考える音楽をどう具現化するのかの方にあるように思いました(ってこれも今更感あふれる発言ですが)。もちろん、サックスもちょっと独特で、彼しかできない表現だと思います。いい意味での軽さ……軽やかさがあって。
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