KRAFTWERK 3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8 Autobahn
クラフトワーク2時間耐久レース×8が始まりました。
…って書いてもなんのこっちゃ分かんないと思いますが。
「まだ悩んでいる」という方、絶対に行った方がいいと思います。1公演でいいので。
クラフトワークについて知らない方のために説明すると、1960年代末からシンセサイザーを使ったポップ・ミュージック、すなわちテクノ・ポップを生み出し続けたドイツはデュッセルドルフのグループです。それまでのシンセサイザー音楽というのは、実験音楽や、クラシックをシンセで奏でたものなどがほとんどで、オリジナルのポップ・ソングをシンセサイザーの多重録音で生み出した彼らの功績は、後にYMOなどにもつながっていきます。
1990年代まではステージに所狭しと機材を並べてライブ演奏していたのですが、近年はコンピューターをテーブルの上に置き(しかも何が乗ってるかは見えない)、4人のメンバーが並んで立っているという図式です。
で、現在3-Dライブという趣旨で、世界各地で行っている彼らの公演は、8枚のアルバムの収録曲を1公演ずつ全部やる、という趣旨のもので、それがようやく日本に来たというわけですね。
もちろん背景映像はその名の通り3-Dでありまして、これが見モノだということもあります。
3Dグラス着用の相方。
ということで、第一夜は『アウトバーン 』(1974年作品)。以下、壮大にネタバレしております。
まずセットリストはこちらから。
http://udo.jp/News/201305/index.html#130508
setlist 2013/05/08 Akasaka Blitz, Tokyo, Japan
"3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8"
AUTOBAHN
KOMETENMELODIE 1
KOMETENMELODIE 2
MITTERNACHT
MORGENSPAZIERGAN
RADIO-ACTIVITY
TRANS-EUROPE EXPRESS
THE ROBOTS
SPACELAB
THE MODEL
NEON LIGHTS
THE MAN MACHINE
NUMBERS
COMPUTER WORLD
HOME COMPUTER
DENTAKU
COMPUTER LOVE
TOUR DE FRANCE + INTRO
TOUR DE FRANCE 03
PLANET OF VISIONS
BOING BOOM TSCHAK
MUSIQUE NON STOP
(アンコール無し)
5曲目までが『アウトバーン』収録曲。ロンドン公演やドイツ公演では1曲目が「ロボット」だったそうなので、いきなりのエンジン音で盛り上がりました。
『アウトバーン』は、まだ生の匂いが残っているアルバムで、ギターやピアノ、フルートなどが入っていましたが、現在のライブでは完全にデジタル化してしまっていて、音色も“?”と思うくらいすっぴんな感じです。アウトバーンのキモはにじみのあるパッド系の音と、ディレイを絡めたシンベだと僕は思うのですが、後者は本当にどうでもいいような音で鳴らされて、まあそんなもんかなーと思いました。SYNTH-WERK使えばいいのに、と思うくらいに。
演奏も、こう言ってはなんですが、『アウトバーン』収録曲は生楽器とのコントラストがあってオリジナルの尺で成り立つので、若干端折っている構成のように感じました。
補ってあまりあるのが「アウトバーン」の映像です。3Dモデリングされたアウトバーンをフォルクスワーゲン・ビートルで疾走していく……。ただそれだけですし、今のレンダリング基準からするとゆる〜い感じではあるんですが、これが実によくできています。特によくできてるな〜というのは、車線を分ける白い破線が、だいたいBPM(テンポ)に合って動いていくところ。こういうところはきっちりしないと映像のテンポ感が出ないんですよね。またその破線がラルフ・ヒュッターの頭の上を通過していくシーンもあり、これがテンポに同期してラルフを照らす仕掛けになっていて、よくできてるな〜と思いました。
他方、『アウトバーン』収録の他の4曲は手抜きとも言える感じ(笑)。「KOMETENMELODIE」は宇宙空間にメロディが五線表示されて流れていく、「MITTERNACHT」は夜の風景で、「MORGENSPAZIERGANG」は夜明け、という全くひねらないところがクラフトワークらしいですね。
ここからが第二部とも言えるのですが、もうほぼヒット・メドレーで、何公演も行く必要ないんじゃないかと(笑)。ラインナップとしては昨年のNO NUKES 2012に近いような気がします(と言いつつ見返すとそうでもないですねw)。
3D映像は、今の主流の作り方で、基本的には“飛び出す”よりも“奥行きをつける”使い方です。メンバー後方5m辺りにスクリーンがあるとして、3Dの効果でもっと奥にスクリーンがあるように見えます。で、そこから文字なりなんなりが飛び出てくると、メンバーの後方1mや、前3mの位置に見える、という作りです。
映像そのものは昔の使い回しが多く、古い2D映像が“背景”として機能することも多々ありました。同時に、3D映像のほとんどはCGで作られたもので、実写は「ロボット」を除いてほとんど2Dです(つまり3Dカメラでの撮影はほとんどしていないということです)。
あと、音響も「波面合成システム」というので立体化しているという話もちらほらと聞いたのではありますが、実感できたのは「TOUR DE FRANCE」のチェーンが回る音くらいでした。
サウンドについては前述の通りではあるのですが、しかし、それを補ってあまりあるのは音楽的な完成度ですね。きちんとアレンジされていて、曲がポップだからこそ、2時間楽しめるんだなぁと思ったものです。
もちろん「Radioaktivität」はFUKUSHIMA入りverでした。
次は土曜の『MAN-MACHINE』と、水曜の『THE MIX』に行きます。
ついでに言うと、物販は売り切れ多数ですので、ゲットしたい方は開場前に行くことをお薦めします。
すごく気になったことを一つ忘れたので付け足し。
彼らのテーブルの縁取りをしているライトはフルカラー仕様で、映像に合わせてカラーが変わります。色味の調整も完璧です。しかも、位置ごとに違うカラーを発光できます。だから「NEON LIGHT」での縦ストライプ画像に合わせてテーブルのカラーも変化していたりします。これ、仕組みとしては映像と同期するようにフルプログラムしておけばできるんですけど、頭では理屈が分かっていてもすごいなと思いました。
コメントする