2013年1月13日

井上淑彦fuse 3days 2日目

エレ片の後は、毎年恒例のfuse 3days@ドルフィーです。まあ毎年3日間のうち1日しか行けないんですが。

dolphy_entrance.jpg ドルフィーの入り口は怪しすぎる(笑)。

ドルフィーに行くときはお約束のようにブッチャーズ☆グリルに行きまして、お腹パンパンでたどり着いたのが18:45ころだったのですが、まだリハやってまして、リハの様子を眺めていました。

fuseはできたころから、リハでアレンジがバンバン変わるんですが、そんなさまを見ていて思い出しましたね。

 

 

で、前半はほとんど新曲(去年の新曲=旧曲もあり)。後半も新曲が一つ。レコーディングされて世に出ているのは「冒険」のみ(この曲だってクリプシドラとして出ているだけ)。もう次の段階を感じさせるステージでありました。

メモを書いていたんですが、曲調以外は「自由に行って、どこからでも戻ってくる。もう何が何だかw」「何がどうなってるのかさっぱり分からん。アクセントの位置が普通じゃない」と、そんなことばかり書いていて、全く役に立たないメモです(笑)。

まず、井上さんのメロディがどれも良いんですね。髪型も後ろ髪を伸ばしっぱなしだったのですが、「散髪に行く時間も考えないほど作曲に没頭していたんじゃないか」とさえ思います(大げさに書いています)。

それを各人が解釈して、バンドのサウンドになっていくわけですが、紅介さんと角田さんのリズムは、基本的にがっちり噛み合っている。それでいて、田中さんが全然違うことをやっていたり、井上さんのテーマが乗るとその噛み合ったリズムのアクセントの位置がすごく普通じゃない感じに聴こえる……ので一生懸命数えるんですが、実は合っている。いわゆるリズムの訛りみたいなもので、全くジャストにスパーンと気持ち良いところに落ちていない感じもあるんですが、数えないで聴いているとだんだんそれが癖になってくる。ものすごく不思議です。リズムの訛りなんて、それこそティポグラフィカからヒップホップまで相当受け止めてきたんですが、それと同じようでいて、その場でどんどん変わっていく感じというか。やっぱりこのバンドは何か特別なんだと感じさせるものがあります。

帰路にて、相方から「この人たちはみんな一流と言っていいのか?」という質問が来て、「ランキング化するよりもオンリー・ワンが4人いると思ってくれ」と答えたのですが、まさしくそんな感じでした。

「冒険」も、クリプシドラとは全く違っていて、一体どこを冒険しているのかと(笑)。宇宙まで行っちゃうんじゃないかという程の田中さんのピアノ、何かと戦ってるんじゃないか(笑)と思うほどの角田さんのドラム。周りを見たら井上さんも、井上さんの奥様ののり子さんも笑ってました。紅介さんをフィーチャーした曲(曲名はよく聞き取れなかったけど最愛の人という意味)もすごく奇麗だったし、「新曲4」の凛としたバラードもとても素敵でした。

で、まあ一応サックスを触ってる身としては井上さんのプレイもまたよく聴いていたのですが、やっぱり井上さんのプレイは最高です。一生かかっても絶対こんな風には吹けない。何より音がいいです。分かりきってはいたことですが、あらためて感じました。

アンコールは予想通り「ずっと…」。最高です。田中・紅介・井上で代わる代わるテーマを奏でつつ、角田さんが極弱から丁寧に支えていくという。もう感無量でした。

終演後、井上さんに「新曲はどれも曲がいいんだけど、それがライブに降りてきて、形になるかならないかのところで出てくる音が最高に面白い」と伝えたら「fuseはやっぱりfuseなんだよね」と。この一言にすべてが凝縮されているように思いました。

やっぱり音楽が呼んでいるプレイなんですね。それをどれだけ自由に、その音楽という制約……というかルールを踏み越えない中でふるまえるか。でもその場で、一秒先に奏でられる音楽にすべてが寄与するんです。

fuseもかれこれ15周年ですが、結成当初からの曲が全くないライブは(個人的には)初めてで、でもやっぱりfuseでした。15年も続いていて、これだけ新しいものが出てくるバンド、すごいと思います。

僕はここまで「ジャズ」という単語を全く使っていませんが、もうこれがジャズだとか、ジャズではないとか、そういうことじゃないんです。fuseの音楽。ただそれだけです。音楽の先にある何かを感じさせてくれる、そしてそういうものを僕は欲し続けているという、自分の立ち位置を再確認するために、毎年正月にドルフィーへ通ってる気がします。

まだ今日もあるので、行ける人はぜひ!

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