2012年6月18日

対談を公開して

 

宗像さんとの対談、公開から2日経ちました。概ね、我々の言いたかったことが理解されているようで(もちろん納得されたかどうかは別です)、ホっとしています。一番うれしかったのは、眼福ユウコさんがこのエントリーを紹介するときに、我々のことを(お二方ともファンです)と書いてくださったことです。僕らはプロである以前に、ファンです。そこを踏まえてくださったことに感謝しています。

こんな長くて読みづらいテキスト、編集者の端くれとしてこんな形で出していいものかという自問自答もありましたが、この内容を行き来するところに、僕らの当惑具合が現れているとも思っています。

そもそもなぜ「僕が」(宗像さんがどう考えていたかは知りません)こんな対談をしたかと言えば、活動休止に対する煮え切らない思いを出しきりたかったからにほかなりません。ただ、自分が出しきった後に、それをほかの人に見せるのはどうかとずっと思っていました。今さら公開したのは、リードに書いたような気持ちからですし、この対談を行った半年前とはまた見方が変わってきている部分もあります。さらに付記しておくならば、宗像氏は外傷で、私は神経痛で、この対談時はまともに歩くことがかなわなかった。つまりルーフトップ・コンサートも這々の体で見ていたことも記しておきましょうか。

 

批判的なツイートも散見しますが、反論するポイントもないので、気にしないでおきます。ライダーズがファンの解釈に委ねた以上、(仮に)1万人いれば1万通りの解釈があり、ここに書いたのは1万分の2です。ご自身の「1万分の1」と違って当然でしょう。ひょっとしたら音楽評論家だの音楽誌編集者だの、余計な肩書きは省いてしまった方がよかったのかもしれませんね。もともと外部のメディアに出そうと思ってまとめていたものなので、それを残したままにしていました。

宗像さんも私も、活動休止の理由として、藤子不二雄説……音楽人としての発展的独立が大きいという点は共通しています。

そして、宗像さんは同時代の音楽と同列に語られることが欠如していたと指摘し、私は同時代の音楽制作との関係で彼らの抱えた困難を析出してみようとしました。この辺りは、我々がお互いに得意とするジャンル・視点の違いだと思います。

それでも、我々の見解が共通しているのは、(あくまで私にはそう思えるという話ですが)「同時代のどんな音楽と比べても最高にかっこいいムーンライダーズ」が聴きたいという思いだったのだと、この対談をして気が付きました。

まとめの段階で省きましたが、僕が望んでいたのは「セクシーなムーンライダーズ」です。外部プロデューサーを立てろと言ったのはそこを望んでいたものでした。宗像さんは「還暦のメンバーにそれを期待するのは酷」と言いましたが、僕はそれに対して当時再婚が話題になった加藤茶を例に挙げました(笑)。その例は半分冗談だったとしても、ムーンライダーズは十分セクシーなんだから、それを打ち出せばいいのにと思っていたことは間違い無いです。

僕は普段から、極力、余計なコンテクストなしに作品に接したいと思っています。もちろんコンテクストを踏まえた上で向かい合う面白さというものもあります(ヒップホップなんかそうですね)。ですがしかし、本当の感動というのは、余計なコンテクスト無しで成立するものです。

もうひとつ付け加えるとすれば、最近批判される「ダメな音楽業界」「音楽業界をダメにした寄生虫」とかいろいろありますけど、僕や宗像さんがどういうスタンスを取っているのかは、普段の言動や仕事の内容も踏まえて判断していただきたいと思います。

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コメント[1]

怒りに任せて書いたのでちゃんと調べていなかったのですがorz
法的な論評はこちらが参考になります。
http://www.kottolaw.com/column/000401.html

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